事前アンケート及び当日のヒアリングから
◆現在の状態(これまでの経緯)を教えて下さい
大学受験直前の勉強中、ふと気づくと思うように指が動かないことに気づく。一時的なものだろうとそのまま放っておいた。しかし日ごとにペンを持つと違和感が増し、ペン先に上手く力が伝わらなくなった。中指だけが必要以上に力む。力の加減調節が出来ない。書く動作をすると中指が上方に跳ね上がろうとズレてしまう。他の指もペンを持つための協調運動ができない。以降、一文字書くごとにストレスが掛かるようになる。文字がミミズのようになっていった。
某大学病院の心療内科を尋ね診療を受ける。これまでの経緯を詳しく聞いてくれた。幾つか改善策を試してみてくれた。だが解決の糸口が見つからなかった。担当した医師も「今まで見たことがない。」ということだった。
心身をリラックスすることは勧められたが、特段診断名は受けられず帰宅。
その後、自分で症状をネットで検索し書痙ではないかと推測。親とも相談。親の知人が本コーチングを受講し、改善したこと聞き今回受講。
※書痙(しょけい)・・書字障害のひとつ。イップスというよりはジストニアといった方が正しいと考えられる。
◆指導
書痙指導は初めてではあった。が、予想以上に即時的な効果が見て取れた。投球イップス指導で行っている技法を元に動作改善指導を行った。
さすがに最初の1時間程は、彼のその書字動作を観察することに努めた。すると観察しているうちに、少しずつその傾向が掴めてきた。
書字動作の型を新たに再構築することに努めた。次第に手指が機能的に動くようになったのか、ある程度制御ができるようになり中指の跳ね上げも落ち着き始めた。ほぼ意図通りにペン先が紙の上を走るようになった。
来所して間もなく書いてもらった文字と、指導終了時の文字では明らかに異なった筆跡にまでに落ち着いた。不必要な文字のはらいがなくなっていった。恐らく本来の文字に近いものだろう。
英語の筆記体も書きずらい様子だったが、綺麗なアルファベットを書いていた。ペンの動きが滑らかになっていた。
本人から「全然違う、書きやすくなっている」と言って頂いた。見通しが出来た様子。今後は反復練習を積んで次のステップへ。留意点もお伝えした。
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トレーニングサポート研究所
所長 松尾 明